米国テーパリングがきても全力投資継続!

投資
金融政策と株価の関係

 最近経済ニュースでよくテーパリングという言葉が出ますね。市場参加者はほぼ全員聞いたことがあると思います。ただ、テーパリングがよくわからないという方、テーパリングのときにどのような投資戦略を取ったらよいかわからないという方に向けて分析しまとめてみました。これを見るとテーパリングとは何なのか、株は買ったほうがいいのか?売ったほうがいいのか?何もしないほうがいいのか?が分かります。経済用語に惑わされることなく戦略を取っていきましょう。そして11月頭のビッグイベントFOMCを安心して迎えましょう。

皆さんのFIREの一助にしていただけると幸いです。

テーパリング(Tapering)とは

 米国FRBが金融緩和策として政策金利が実質ゼロ水準にあるときに量的緩和策(QE:Quantitative Easing)を実施する場合があります。近年では日本を始め政策金利ゼロというのは珍しくなくなってきており、米国においてもコロナ感染症拡大の経済対策としてゼロ金利化、及びQEを発動しています。FRBの政策はまずは金利の上下。これが基本です。しかし、今はゼロ金利ということで金利での政策余地がない!そこでさらなる緩和策としてQEを実施しています。

では、FRBは何を買い入れているのでしょう?

21年現在、FRBは国債を毎月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS:Mortgage Backed Securities)を毎月400億ドル、合計1200億ドルの買い入れをしています。MBSは聞き慣れないと思います。米国では住宅ローンの貸し出しリスク分散などの観点から住宅ローン債権が証券化しており、債券市場で売買されています。資産担保証券の1つで住宅ローンの元本や利子の返済資金を裏付け資産とした証券です。一方で現在米国では住宅価格が高騰しており、FRBがなぜMBSを買い続けるのかという疑問を持つ声もあります。MBS買い入れにより住宅金利が低下し、住宅購入需要増を見込めます。一方でその需要増と供給力の低下(材料、人材不足)により住宅価格が上昇します。MBSはリーマンショックの原因にもなっており、あまり良い印象はありません。一歩間違えると大変なことになるという印象です。

〔Q+A〕米量的緩和第3弾(QE3)、FRBの狙いや想定されるリスク

サマーズ氏、米住宅急騰は「恐ろしい」ことだ-MBS購入を疑問視

資産の状況

FRBのバランスシートは上の図のような変遷をたどっています。コロナショックの最近始まったような印象を持ちますが、実は2008年のリーマン・ショックから急増しており、その頃の資産額からそれほど減らないうちにコロナショックで大幅に増加。コロナ禍前の2倍になっています。

資産買い入れの4つのフェーズ

1.量的緩和:

 金利はすでに下がってる状態であり、加えて市場から資産(国債、MBS)を買い入れる事により市場の資金を増やし、落ち込んだ経済の回復を目ざします。この間バランスシートは増え続けます。

2.買入縮小(量的緩和縮小、テーパリング):

 買入ペースを落としていきます。買入をなくすわけではなく買入額を徐々に減らしていきます。つまり、FRBのバランスシートは増え続けますし、市場の資金増加は続きます。

3.資産維持

 購入した資産の金額を維持します。債権の償還を迎えた場合は同額の債権を買い入れ、市場の資金量は一定に保たれます。

4.資産縮小

 購入した資産を売却し、市場の資金量を減らしていきます。

今後どうなるのか

FRBのパウエル議長は9月の声明で「資産買い入れ額については国債を毎月100億ドル、MBSを毎月50億ドルずつ減らすことが妥当」という発言をしており、そうすると現在の買い入れ額から計算すると両資産共に8ヶ月で購入額を0に減らしていくものと考えられます。11月のFRBの会見でこのあたりが公表されるのではないかと想定されています。また、市場ではインフレを危惧する声が出ており、パウエル議長は「インフレは一時的」と発言していましたが、インフレは比較的長く続きそうだというのが市場の大勢の予想になってきていると思います。

現在のコンセンサス

FRBテーパリング予想(出典:管理人)

これまでの情報はすでに出ています。まとめると、

・21年12月(または11月)からテーパリング開始

・8ヶ月でテーパリング完了(22年7月に0)

加えて、下記は市場予想になっています。

・一定期間は資産保有を継続(償還した債権分は同額を市場から買う)継続期間は不明

・政策金利上昇は不明。22年から1、2度の上昇、つまり0.25~0.5%を想定として織り込みつつある。

 予想通りに動くかは定かではありませんが、過去バーナンキ議長がテーパリングでの市場との対話を疎かにし、突然の発表を行ったため株式市場が混乱したいわゆるバーナンキショックがあるためパウエル議長はかなり慎重に市場との対話をし、また市場の期待を裏切らないようにしているのではないか。もっというと市場の想定通りの政策をしようとしているのかもしれません。あまり想定外の政策にならないようにしていただきたいというイチ投資家として思う部分もあります。

インフレ率の推移

インフレ率が高止まりの様相を見せており、2008年頃に近い水準になっています。

インフレ率(tradingeconomics.com)
インフレ率(TradingEconomics)

時間軸の違う2つのインフレ率を表示しています。2008年以来のインフレ率になっていますが、長期で見ると1990年頃にもあったようです。

出典:TradingEconomics

FRBの目標は

1.雇用の安定

2.物価の安定

です。現時点の局面では物価の安定を目指すのではないかと考えられています。

テーパリングと株価の関係

 テーパリングが開始された場合、株価はどうなるのでしょうか?

私を含めて投資家の関心事はその1点に尽きます。一般的に株価と金利の関係は強い相関があります。金利が下がると株価が上がる。金利が上がると株価が下がる。米国株に詳しいじっちゃまこと広瀬隆雄氏は金利7割、業績3割と仰っています。つまり、市場に資金がばらまかれると株価が上がるわけです。

ではテーパリングはどうなんでしょう?

テーパリングとは「資産購入のペースを下げる」ことです。買い入れは続きます。市場への資金流入は継続されるのです。

早速下記のチャートを御覧ください。

テーパリングと株価の動きを検証FRBが資産買入れ縮小でも株価の上昇基調は継続へ

 テーパリング(=資産買い入れ縮小)時にもS&P500は右肩上がりに上がっています。これは大きな安心材料です。また、量的緩和中はいずれも株価が大きく上昇しており、この局面では必ず株式投資に参加しておくべきです。ゼロ金利+量的緩和は株式市場にとっては最高の局面です。

 次に各局面での株価騰落率です。こちらもテーパリング時には上昇していることが見て取れます。

これを解釈すると、テーパリングするとはいえ、資産買い入れは継続されます。その分市場にはお金が増えるわけですので株価上昇は継続すると考えられます。安心しますね。

 次に気になるのは資産買い入れが終わった後、テーパリング後の資産維持のフェーズです。この局面では株価が下がっています。金融緩和での株価上昇がなくなり、実体経済に即した株価の推移となったと考えられます。テーパリングが完了した後の2015年は

・利上げ観測による警戒感

・中国を始めとした新興国の景気減速

・ギリシャ危機

といった内容が景気を冷やしたものと考えられます。過去の例から2022年もテーパリング終了後に株価が下がるかは不透明です。

テーパリング開始後の投資戦略

 11月にテーパリングが開始される予定ですが、これからの投資戦略についてまとめたいと思います。過去の例から11月以降も株価はテーパリング終了(=2022年7月頃)まで上がりそうです。もちろんこれが必ず起きるというわけではありませんが、テーパリングというイベントを考察すると株価上昇が継続する可能性が高いと考えて良さそうです。

投資戦略

 すでに投資している方は特に戦略を変える必要はないと思います。インデックス投資を継続しましょう。現在投資資金に余裕がある方は米国インデックス資産に早めに切り替える方が良いでしょう。1年程度で見た場合に下落を待つよりも資産上昇が見込めます。ただ、11月頭のFOMC会見を見てからでも遅くないと思います。下げたら様子を見ながら反転したときに買い増し。FOMC直後に上がっていくようでしたらすぐに買い増しという少し短期的な戦略は考えれます。

皆さん、一緒にFIREを目指しましょう!!

そして、投資は自己責任、自己利益で。

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