経費・節税のために中古のベンツを買うことが最適でない理由
このページでは会社をお持ちの個人経営の社長さんが節税目的で中古のベンツ(外国車)を買おうとした場合にどのような計算になるのか。個人経営の会社を持つ私がなぜ中古のベンツをおすすめしないのかを書いています。
この投稿の対象の方
- 個人で会社経営をしているオーナーさん
- 節税を目的として車を買おうとしている方
「社長は中古のベンツを買いなさい」と言われる理由
節税の本ではよく「社長は中古のベンツを買えば節税になる」と言われます。
理由は以下の2点です。
- 中古であれば減価償却耐用年数が短くできること
- ベンツであれば値下がりしにくいこと
中古車であれば減価償却耐用年数が短くなる
まず、減価償却の耐用年数が短くなるというのは問題ありません。
<法定耐用年数の全部を経過している中古車>
法定耐用年数×20%
例えば、6年落ち以上の中古車(普通自動車)を購入した場合は次のようになります。
6年(法定耐用年数) × 20% = 1.2年
1.2年となりましたが、計算の結果が2年以内の場合は「2年」とみなすとされているため、耐用年数は2年です。
<法定耐用年数の一部を経過した中古車>
法定耐用年数 − 経過年数 + 経過年数×20%
例えば、2年8ヶ月落ちの中古車(普通自動車)を購入した場合、次のように計算します。
6年(法定耐用年数) − 2年8ヶ月 + 2年8ヶ月×20% = 3.8年
1年未満の端数は切り捨てすることになっているので、耐用年数は3年となります。
減価償却の仕方は2種類ありますが、耐用年数で均等に割る定額法であれば36ヶ月に分割して毎月減価償却していくことになります。
この金額が費用として計算されます。
ベンツは値下がりしにくいのか?
ここが問題です。
以下は私が調べた買取価格の結果です。
心理的に「社長で経費になるんだったらいい車乗りたいなー」と思う高級な車種を選びました。
Sクラス 4マチック クーペ AMGライン
経過年 | 中古車価格 | ||
新車 | 1700万円 | ||
3年 | 1000万円 | ||
5年 | 550万円 | ||
7年 | 350万円 | ||
10年 | 150万円 |
値下がりがすごいですね。
何年で買うかにもよりますが例えば償却を3年にするために5年の中古車を買ったとします。
中古車10%ほど販売価格に転嫁して売られているとして600万円でSクラスが買えることになります。
この600万円が経費になります。
現金としては一括で600万円がなくなります。
経費としては1/3ずつ年間で処理できますので約200万円となります。
例えば年間に利益が500万円の会社の場合、この車だけで200万円の経費になります。
利益が300万円に圧縮されますのでその分税負担が下がります。
ぜひご自身の車も早めに査定してみてください。
大事なのはリセールまで考えること
ここからが大事です。
税金が減って特をした気になりますが、もし車を買わなかったらどうなっていたのでしょう。
税率23%だとして、税引後利益は
車を買わなかった場合
500万円×(1-0.23)=385万円
車を買った場合
300万円×(1-0.23)=231万円
車を買わないほうが税引き後利益は多いです。
当然ですよね。
この中古のベンツが生活上どうしても必要であれば問題ありませんが、節税として買っているのであれば本末転倒です。
リセールバリューを考える
もう1つ重要な点はリセールバリューです。
なぜなら、この中古のベンツを売却する場合、その売却益は会社の利益として算入されます。
5年落ちで購入し、2年後に売却した場合、7年落ちの価格で売却となり、350万円で売却できます。
この350万円は利益に入ってきます。その年の利益の状況によりますが課税金額は増えるかもしれません。
但し、通常は車を買い換えますよね。
また5年落ちのベンツを買うことにしましょう。
そうすると600万円の支出になりますので同じ年で差し引き250万円の損失となるのです。
そうすると。。。? 気づきましたよね。
長い目で見ると結局600万円ー350万円=250万円が経費として算入されることになります。
2年で250万円。
1年で125万円。
車を使う経費として125万円を1年毎に払っているという計算です。
高いと思いませんか?
そうするとどのようにしたら良いのか。
結局リセールバリューが高い車を選べば良いのです。
それはベンツではありません。
その他の高級外車も同じです。
私は車好きだったためアウディ、ポルシェ等色々調査してみましたが、経費を第一に考えるとどうしても選択肢にはなりませんでした。
結局何を買えばよいのか
最も経費を使わない2つの車の買い方
買い方は2つです。
1.リセールバリューが高い かつ 絶対額の安い車両 を 新古車で買い、3年程度で買い換える
2.早期に価格が下がりきってしまう中古車を買い、長期に使い続ける。

リセールバリューが高い かつ 絶対額の安い車両 を 新古車で買い、3年程度で買い換える
これを以下のような方におすすめです
- 短期に支払える現金を持っている(250万円以上)
- 長期的目線で得な方法にしたい
- ライフスタイルに合わせて多少は車にこだわりたい
ここではいくつかポイントがあります。
リセールバリューが高いというのは先程の話のとおりです。
インターネットで検索するとリセールバリューは○○%と記載されています。
しかし、この%の大きいものだけで選んではいけません。
なぜなら、絶対額が高い車両は例えリセールバリューが高くとも絶対額としては値落ちが大きいからです。
また、車両購入時に現金で支払うため、極力安い車両を選びましょう。
新古車としたのは、ほぼ新車の状態で安く購入できるためです。
3年毎に買い換えるメリット2点
1点目 リセールバリューが高い
最も大きなメリットは3年までだったらリセールバリューが高いということです。
車両はだいたい10年乗るとほとんど値段がつかなくなります。例えばここでは10%とします。
そうすると車両価格の90%を10年で使いますので年間9%程度です。
300万円の車両であれば27万円が年間に使う価格となります。
例えば3年で10%しか落ちない車両があればどうでしょう。
300万円の車両であれば4万円が年間に使う価格となります。
このため購入する価格と売却する価格をいかに縮めるのかが重要になります。
購入する際に新古車をおすすめするのはこのためです。
また、5年経過すると新型車が出るかもしれません。
新型車が出ると旧型のリセールバリューは一気に落ちます。
2点目 3年過ぎると諸経費、交換部品が増加
3年を過ぎたところで色々な経費がかかります
・車検(車検費用+重量税)
・タイヤ交換(3年すると交換が必要)
5年まで乗るとこれらが必要になってきます。
5年リセールバリューを考慮しこれらの経費を払った方が得であれば乗り続けるべきですが、5年リセールバリューは割と下がる車両が多いため3年買い替えの方がメリットが多そうです。
早期に価格が下がりきってしまう中古車を買い、長期に使い続ける。
これを選ぶ方は以下のような方におすすめです。
- 短期にお金を使いたくない
- 車は移動手段で何でもOK
こういう方には中古の軽自動車(スイングドア)がおすすめです。
わざわざスイングドアと書いたのはスライドドアは軽自動車でも人気があり元の価格も高いですし、中古も中途半端に高いです。
中古の軽自動車であれば3年落ちで50万円以下を狙えます。
但し、7年乗るとすると1年あたり7万円です。
タイヤ交換、他部品交換等を含めるともう少しかかるでしょう。
新車を買っても同じような金額になりますので、ここは好みになります。
私が選んだ車
結局、私はトヨタのVOXYを選びました。
購入金額240万円で3年後売却金額は220万円でした。
色々考えた末のこのストラテジーはかなり得だと思っています。
ぜひ皆さんもお得に車を購入しましょう。
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